今日は記念日
師匠と女将が結婚して33年目の記念日
33年間ですよ
あしもふの生きた年数にとうていおよばない
この年月に敬意を表します
きっとふたりにいろいろあったことでしょうけれど
今の美濃屋が在るのはふたりのお陰です
今日は久しぶりに来てくれたお客さんがいました
お彼岸のたびにお稲荷さん用に油揚げをたくさん
予約してくれる方です
このところ連絡なく近所でもお顔を拝見しなかったので
どうしてるかなとおもっていたんです
その理由を知ってびっくりしました
去年末に息子さんがなくなられたそうです
釣りが大好きで、夜釣りにでかけたまま
帰らぬ人となってしまったそうです
その息子さんはお稲荷さんが大好きで
一度に7個も8個も召し上がっていたそうです
本当は仏様にお供えするためにつくらなきゃならないんだけどさ
今日はちがうのをもらいます
といってお客さんはがんもと生揚げをかっていきました
ふかいふかいかなしみを感じかけることばが見つかりませんでした
ショックでショックで変になりそうでねぇと
手首をきる仕草をするお客さんの顔は精一杯笑っていて
いまも乗り越えようと必死になっているのが痛いほど伝わりました
こどもをなくす親のきもちをはかることはあしもふにはできません
親よりさきにうっかりこの世をさらばしてしまったらどうしよう
・・・油揚げを揚げながら考えていました
あの世でも油揚げをつくってお稲荷さんをたくさん売って
例のお客さんの息子さんにも買って食べてもらって
たくさんお金をためて閻魔に賄賂をわたして頼み込んで
この世にもどしてもらおう
というわけで「戻ってくっから!」と叫んで妄想を終了しました
当たりまえのことかもしれませんが
両親のつむいだ時の跡をきちんと踏みしめて生きてゆこう
とあらためてあしもふは思ったのでした